0と1、個と群衆、男と女など我々の社会ではしばしば二項対立であらゆるものが語られます。論点を整理し、判断を決する上で効率がよいため二項対立の思考様式が推奨されるケースは多々あります。わかりやすい表現や思想はフィルバーバブルの温床となりその場限りの感情的不和が乱発されています。本展 Challenge The Binary は二項対立への挑戦を意味し、しばしば陥りやすい二項対立への誘惑を断つことで、二項の狭間にある無限の中間地帯にバランスよく立ち続ける視座を供します。割り切れぬものを前にした時、冷静に解像度高く物事をとらえる縁(よすが)となれば幸いです。

【キーワード】
社会、二項対立、ジェンダー、フェミニズム、オリジナリティー、共生、ステレオタイプ、紐、価値観、個と群衆、フィルターバブル、紐、脳、中庸
【アーティスト】
菅本智
【アーティスト紹介】
菅本智は、人間の思考や感情の振れ幅を可視化し、心の領域を赤裸々に写し出します。幼少から同調を求める日本社会に違和感を抱いていた菅本は、抑圧的な社会制度の狭間に揺れる人々のアイデンティティーを幾重にも連なる紐で編み出します。相反しながらも調和し複雑に絡み合う人間心理の多様性が鮮やかな彩を伴い抽出されます。近年、菅本は日本における現代女性の身体的・精神的自立の探求に関心があります。女性が社会的地位を向上させてきた歴史的背景を前提に、今なお残る封建的制度に立ち向かう女性像を屹立と表現します。男性脳や女性脳といった安易な二項対立に与しない、フェミニズムアートでもない、人間としてのあるべき姿、尊厳を巧みに作品として紡ぎ出します。
【期間】
2023年1月11日水曜日〜2023年2月11日土曜日